書籍
葉隠物語
ハガクレモノガタリ
内容紹介
本格的歴史小説。
江戸時代中期(享保元年:1716)に、元佐賀鍋島藩士・山本常朝が語り、田代陣基(つらもと)が聞き書きした武士道の書「葉隠」に描かれた数々のエピソードと、語り部の山本常朝の人生を、25篇の物語として描いた、連作小説です。
従来、葉隠といえば「武士道とは死ぬことと見付けたり」という言葉があまりにも有名で、かつ、その言葉が戦中に特攻や玉砕への合理的理由のように使われていた歴史があり、反戦的な人々からは忌み嫌われていた時代があります。また、男色についての記述も、エキセントリックに受け止められ、食わず嫌いになっていた方も多いことかと思います。事実、上記のような言葉や記述はありますが、本書『葉隠物語』は鍋島藩祖から三人の君主たちの事蹟・言動を中心に、戦国末期から泰平の元禄に至る激動の時代の空気と、そこに生きる人々の生き様を鮮やかに描き出した全25話の連作短編小説です。
第1話から、終章で山本常朝が亡くなるまでの135年間を、1篇1篇が独立した作品として、魅力的な登場人物たちを配し、「合戦」「切腹」「跡目騒動」「父子の相克」「忠君の情」などのテーマを追いながら新たな物語は生み出されました。あなたは頁を開いたときから読了するまで、武断から文治へと武士の価値観・武士道そのものが大きく変わってゆく歴史の必然と、そこで命を懸けて信義を貫く「曲者(くせもの)」と呼ばれた人々のドラマに引き込まれ、熱い想いに充たされることでしょう。
著者紹介
昭和30年、福岡県黒木町(現・八女市)出身。国立久留米高専卒。平成2年『血の日本史』でデビュー後、歴史時代小説の大作を続々と発表。平成17年『天馬、翔ける』で中山義秀文学賞を受賞。平成25年『等伯(上・下)』で直木賞受賞。「隆慶一郎が最後に会いたがった男」との伝説を持つ歴史文学の第一人者です。
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